植込み型心臓デバイスについて
植込み型心臓デバイスとは
不整脈の診断・治療を行う器機の総称のことをいいます
ペースメーカ(PM)、植込み型除細動器(ICD)、両室ペースメーカ(CRT-P)、両室ペーシング付き植込み型除細動器(CRT-D)のデバイスをまとめて植え込み型心臓デバイスと呼んでいます。ペースメーカは徐脈の治療、植込み型除細動器は命に関わる重篤な不整脈が起きた時の治療、両室ペースメーカは左右の心室の動きを同期することで心不全の改善など、植え込むデバイスによって治療の目的が異なります。
日常生活での注意点
いくつか注意点がありますが、日常の活動事態に大きな制限はありません。
運動
手術後1~3ヶ月経過し、順調に体調が回復すれば、同年代の方がしているほとんどのスポーツができます。ただし、運動の種類によっては、ペースメーカー本体にダメージを与えたり、リードが移動したり損傷したりする原因となることがあります。医師に相談のうえ、どの程度の運動であればよいか確認してください。
外部からの電気や磁場
- 病状悪化の早期発見につながります
電気カーペット、電気毛布、電子レンジ、テレビ、ラジオ、パソコン、エアコン、空気清浄機、加湿器、コタツ、洗濯機、掃除機、補聴器、電車など公共の交通機関など
- 病状悪化の早期発見につながります
電磁調理器、IH炊飯器、携帯電話、盗難防止装置など
- 影響がある可能性があるもの
マッサージチェア、電気自動車の急速充電器、高周波治療器、低周波治療器、体脂肪計、全自動麻雀卓など
ペースメーカー外来
当院では、心臓デバイス植込み患者様を対象に、定期点検や電池消耗度、さらに患者さんの身体の状態に合った各種心臓デバイスプログラムを最適に設定するペースメーカー外来を循環器内科医協力のもと臨床工学科主体で行っています。遠隔モニタリング機能付き心臓デバイス埋め込み患者さんには積極的に導入し、日々の心臓デバイス情報を解析する事で不具合等を早期発見につなげています。
遠隔モニタリングシステム
当院では植込み型心臓デバイスを使用している患者さんのご自宅に、専用の中継機器を設置して頂くことで、自宅から植え込み型デバイスの情報を医療機関から閲覧できるシステムです。定期的にデータは送信されますので、病院を受診すること無く、自宅にいながら医療機関へ植え込み型デバイスの情報を提供することが可能となります。
また、アラート送信機能も兼ね備えており、植え込み型デバイスに不具合や故障が発生した場合には、医療機関へ自動的にデータを送信しますので、異常等を病院側で早期発見することが可能になります。
メリット
- 病状悪化の早期発見につながります
- 緊急アラート機能により異常の早期発見につながります
- 遠方にお住まい、施設入所などなど来院が困難な患者様への対応が可能となっています
- 患者様の状態によってはデバイス外来の受診間隔を延長延長することが可能です
埋め込み型デバイス
ペースメーカー
徐脈性不整脈を監視して、万が一のときには心筋に電気信号による刺激を与える装置です。
ペースメーカは鎖骨の下の皮下に留置した本体と心臓内に留置したリードからなります。本体に接続されたリードを介して心臓の電気信号を24時間監視し続け、患者さんの心臓リズムを整える必要がある場合には本体から電気信号を送って心臓を動かします。
ペースメーカには多彩な機能があり、個人個人に合わせた設定が可能です。設定変更や電池残量のチェックは専用の装置を本体に当てるだけで行うことができ、植え込み後は3〜6ヶ月に1回外来でチェックをします。
リードレスペースメーカー
当院ではリードがなく直接心臓内に植え込むカプセル型のリードレスペースメーカが使用でます。本体が皮下にないため、本体による皮膚トラブルはありません。全ての患者さまに植込みできるわけではありませんので、担当の先生にご相談ください。
Micra®(Medtronic社)
ICD(植込み型除細動器)
徐脈性不整脈を監視して、万が一のときには心筋に電気信号による刺激を与える装置です。
心室頻拍や心室細動という危険な頻脈に対する治療を行う医療機器です。心筋梗塞後、心不全、ブルガダ症候群などの病客さまでは突然このような危険な不整脈を起こすことがあります。ICDは突然起こった心室頻拍や心室細動を自動的に感知し、電気ショックを与えることで心臓の動きを正常に戻します。
本体を鎖骨下に留置し、心室内にリードを挿入するICDと本体を左側胸部に留置してリードを皮下を通して心臓の前に持ってくるsICDの二種類があります。
ペースメーカーとの違い
心室頻拍や心室細動などの致死性心室性不整脈が出現すると、抗頻拍ペーシングという高頻度の電気刺激や電気ショックで頻脈を停止させます。
本体を鎖骨下に留置し、心室内にリードを挿入するICDと本体を左側胸部に留置してリードを皮下を通して心臓の前に持ってくるsICDの二種類があります。
心筋梗塞や拡張型心筋症などの心疾患のために心機能低下や心不全症状のある患者さんはこのような発作を起こす危険性が高く、心臓突然死を起こす前に予防的に植込み手術が行われることがあります。また、ブルガダ症候群、特発性心室細動、QT延長症候群などの患者さんでも心室細動発作の可能性が高い場合には植え込まれます。
CRT(両心室ペースメーカー)
ペースメーカを使って心臓のポンプ機能の改善をはかる治療方法
心臓の収縮力が低下して心不全を起こすようになると、全身に血液を駆出する左心室は徐々に拡大してきて左心室での電気信号の伝達が遅れるようになり心臓の壁の動きが歪むようになり、これを「非同期性収縮」といいます。左心室の運動が非同期性収縮を起こすと心機能低下が悪循環を起こし、心不全がさらに進行します。このような状態を治療する心臓ペーシングデバイスがCRTです。
CRTは通常のペースメーカーのペーシングリード以外に、左心室側から電気刺激できるように冠状静脈にもう一本のリードを追加して、左心室の遅れて収縮する場所を早く刺激して遅れを取り戻すことができるのです。
CRTの適応になる患者さんは殆どの場合は致死性心室性不整脈の危険が高いと考えられますので、除細動機能が付加されたCRT-Dというデバイスを使用します。
植込み型心電計
不整脈が失神や脳梗塞の原因になっていないか調べることが可能
長期間心電図を記録することで、失神の原因の特定や、脳梗塞を発症の原因が心房細動によるものか診断するのに非常に有効です。センサーを皮下に埋め込むことによって、最長3年間、長期に渡って心電のモニタリングが可能になります。それまで原因不明の失神や脳梗塞、動悸であったものが、埋込型心電計によって初めて診断が着いたという事例が多く報告されています。
当院では植込み型心電計の植込み術を外来で行っており、日帰り手術が可能となっています。